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Zip ×biogon 003

2021.11.05

case study

対談

Zip infrastructure代表 須知高匡さんとbiogon pictures代表 寺嶋章之

第一回「Zipparを始めたきっかけ」

寺嶋「まずは会社を始めたきっかけをおしえてください」

須知「最初は大学で宇宙エレベーターのロボットを作っていました。

ロープを上り下りするようなロボット。その競技会が年に一回あって、それに出場するためのマシンです。

最初は手に乗るくらいのマシンでした。それからZipラインというアスレチックの乗り物があって、

高いところから低いところに移動して景色を楽しむようなアトラクションです。

それが途中で止まってしまって人が取り残される問題があり

最初はその人を最後まで送り届けるというマシンを作っていました」

寺嶋「それはモーターをつかったマシンということ?」

須知「そうです。基本的にはZipparと同じで、モーターがあって車輪でロープをしっかり噛み合わせて移動する。

リモコンで操作して、止まってしまった人のところに迎えに行ってゴールまで送り届けるという」

寺嶋「そういうものが存在していなかったということ?」

須知「人用はなくて林業用にガソリンエンジンをつかって運ぶものはあったんですけど

人を運ぶものはアイデアこそあれ、国内にはなかった。

Zipが初めてだったんですね。そこから事業がスタートしました。

もともと交通機関にしたいという思いはあって、市場も大きいし

仙台から東京にきて満員電車とか渋滞を初めて体験して、この問題はなんとかしないとダメだと思い

新たな交通機関をつくろうと思いました」

寺嶋「ベンチャーで交通インフラをやろうなんて、かなり無謀ですよね!」

須知「いくつかの要因があってやろうと思いました。

スペースXのようなベンチャーが成功してたり、

あと、日本でそういったベンチャーを応援しようとか

国とか東京都が連携しようというのが活発に動いているので

やりやすい状況にはなってきてると思ったので。」

寺嶋「モノを売るとかは現実味があると思うんだけど

交通インフラ全部作ろうとしていることですよね」

須知「モノをつくるのとはレベルが一つ違うんですよね」

寺嶋「夢があっていいなと思いました!」

須知「こういう挑戦から世の中は変わっていくと思っています。

これはひとつ持論があって、大企業がやろうとしても一つの事業なんですよね。

それがなくなっても潰れるわけではないし、死ぬ気でやらないんです。

我々の強みは“うちはこれしかない”ということ。

僕はこのためだったら身を捧げますし。

そういうところが実は大きいんじゃないかと。

そこがベンチャーの強みだと思っています」

寺嶋「Zipparはひとつひとつにモーターがついていますが、このメリットはなんでしょうか?」

須知「例えばスキー場のリフトとか、一台止まったら全部止まっちゃうじゃないですか

Zipparは、もちろん安全距離はとるんですけど全部止まるということはない。

あとは乗客が少ない時に全部動いていると電気代がとてもかかるんですが、

Zipparは、全部動かす必要はなく、

乗客がきたら一台動かす、みたいに需要によって供給できるのがメリットですね。」

寺嶋「鉄道などと比べると?」

須知「Zipparはロープウエーと同じように高頻度で運行するんですよ。

普通の鉄道はどんなに早くても2分に1本とかじゃないですか。

だけどロープウエーとかリフトは12秒に1回とかできるんです。

我々も12秒に一回、四人乗りのポッドがくるのを目指しています。

そうすると、一回の車両が通るときの荷重が少なくて済みます。

鉄道だったら一回車両が通るときに数百トンのものが通るので、

それに耐えられる橋とかを作らなければいけないわけですけど

Zipparは一つあたりの車両の重さは数トンくらいなので、それに耐えられるシンプルなものでいい。

我々が考えているのは電柱サイズの柱でロープを支えようとしていて、

それだと街中に電柱のように簡単につくれるんですよ。道路の幅を広げなくてもいい。

既存のモノレール等は道路の幅を広げて太い柱をドンと建てたりしているんですが、

Zipparは電柱のように簡単に作れるものを目指してやっています」

寺嶋「それだとすぐできるし、外すときもすぐ外せる!

そうすると仮設版みたいなこともできるとか?」

須知「アイデアベースなんですけど、支柱をクルマに乗せることができないかと考えています。

できたらフェスみたいに、何もないところに仮設でZipparを走らせることが出来ます。

実際にに建設する前に実験的にどのくらい需要があるか試してみるようなことも出来ますしね。」

Zippar 1:20 scale model

寺嶋「どのように開発しているのですか?」

須知「基本的には独自開発はしていません。

ありものを使って、コストを下げる。それがメインです」

寺嶋「それは現実的ですね」

須知「夢物語を少しずつ現実に落としていく、というのをやっています」

寺嶋「これはモノというよりは新しい考え方ですね。インフラの新しい考え方」

須知「考え方があって、それをモノに落としていくという感じですね」

次回に続きます