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Zip ×biogon 002

2021.10.28

case study

「Zippar PV」

Zip infrastructure代表の須知高匡さんとの

出会いは昨年の札幌モーターショーでの「空飛ぶクルマ」の講演会だった。

当時はまだ大学生で話を聞くと”自走式ロープウエー”を開発しているという。

不思議だったのは

なぜ今、ロープウエーを学生ベンチャーが手がけているのか?ということだった。

ロープウエーは古い技術で交通インフラというより観光地のアトラクションというイメージだからだ。

須知さんは明確な答えを持っていた。

「ロープウエーというのは “枯れた技術”で、ほぼ完成されている。

そこに新たなテクノロジーを取り入れて、メリット組み合わせると大きな可能性がある!」

後日、映像制作の相談を受けたときにすぐに協力を申し出た。

ここからビヨゴンピクチャーズはスポンサーという形で

Zip infrastructureの映像制作について支援していくことになった。

新しい交通インフラの未来を実現したい!と思ったからだった。

そして、彼らに必要なのはその未来をより具体的にビジュアライズすることだと思った。

そこから自走式ロープウエーのビジュアル化に着手、

映像制作が始まった。

まずはヒアリング。

Zip infrastructureの開発する新交通システム、自走式ロープウエーとは、どんなものなのか?

自走式ロープウエーは

移動が特に集中する都市部では有効な交通システム。

既存の道路や建物を利用して建設することで

建設費を従来の交通インフラの数分の一に抑えられる。

既存のロープウエーは分岐やカーブができないが

自走式なのでそれらが可能。

さらに自動運転にすることにより様々な運行形態が可能になる。

今の時代にマッチした交通インフラなのである。

これらを動画にするには

ストーリーで見せることが必要になる。

私たちはいくつかのストーリー案を提示し、

須知さんとミーティングを重ね、大まかなストーリーラインをつくり

企画コンテを制作した。

初期の企画コンテ

そして”自走式ロープウエー”をZipparジッパーと名付け

CAD図面から映像用のデザインを起こす作業に入った。

企画コンテによって映像制作のGOが出ると

ここから演出コンテを制作、そしてビデオコンテも制作する。

演出コンテ

ビデオコンテをつくることは様々なメリットがある。

アニメーション制作に細かく具体的な指示が出来ることによる作業の効率化をはじめ

ナレーションや音楽のテンポや間などを確認することが出来る。

そして絵コンテだけではわからない映像を見た印象をはじめ

感覚的な事項がビデオコンテによってクライアントと共有できるのである。

数回のやりとりを経て映像は完成し、

YouTubeで公開され、1万回以上再生された。

その後、新型コロナウイルスの影響で、

急速にテレワークなど働き方が変わり、鉄道など大量輸送についての考え方が変わってしまった。

そのときに注目されたのがロープウエーだった。

ひとつの空間に大人数が乗るよりも少人数で別れて乗車できるというのがその理由である。

一つ一つの車両は小さいので巨大なインフラは必要なく、安価で、建設期間も短い。

巨大な交通インフラが半永久的に存在するという考え方も一新されてしまった。

もっとライトなインフラを状況に応じて短期間で設置するというのが

スタンンダードになってしまうかもしれない。

Zipparはそのあたりの柔軟性があるのも強みである。

映像ではそのあたりを盛り込むアップデート版を制作、

開発が進むにつれて、さらなるアップデート版も進行中である。

Zipparの開発は小田原に試験線を作り、

一人乗りのプロトタイプが完成し、機構や安全面でのテストを重ねた。

現在は四人乗りのニュータイプを開発中。

早ければ年内にお披露目されるだろう。

最近はマスコミ取材も多く、

テレビ東京「WBS」テレビ朝日「発信!ミライクリエイター」などにも取り上げられ、

これからがますます楽しみである。

次回は須知さんとの対談をお届けします