#4_標準について

塚本 聡 2016.7.06

突然ですが「標準」と聞いて何を思いますか?
 
 
標準とは

①物事を行う場合のよりどころとなるもの。
 手本。模範。 およその目安。目標。
 
②平均的であること。普通。並み。

(大辞林より)

とのことです。
 
 
 
各業界いろんな標準があると思いますが
映像業界における標準というと、標準画質というものがあります。
SDTV(Standard definition television、標準解像度テレビ)といい、
主に地上波アナログテレビ放送で使用された解像度のことですが
画面サイズが720×480なので、もはや時代遅れな「標準」では?
 
 
4Kカメラが主流になりつつあり、NHKは8K放送をうたい出しているこの時代、
そろそろ1920×1080を標準として改訂してもよろしいのではないかと思っている今日此の頃です。
 
 
一方カメラにおける標準というと、私は標準レンズを思い浮かべます。
標準レンズとは、諸説あるのですが一番有名なのが
35mm判においての焦点距離50mm(画角=46°)のレンズのこと。
この画角が人間の肉眼で視認できる視野角に近いらしく
人の目で見たままの印象に切り取れる、自然な感じに見えるというところで
「標準」になっていったのだと思います。
 
 
カメラ・オブスキュラの時代から53°が自然ということが唱えられているようです。
 
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■基準が35mm判(フルサイズ)

一般人でもカメラを手にすることができるようになったその昔、
殆どが35mmフィルムによるレンズ交換式カメラだったため
現在のデジタルカメラ時代に於いて35mm判以外のフォーマット用のレンズを用いる時
そのレンズの画角を把握するのに35mm判のレンズの焦点距離に置き換えた方が理解しやすいため、
今もなおこの用語が使われます。
フルサイズというのはこの35mm判フィルムサイズのことを言います。
 
 

現在のデジタルカメラ市場ではAPS-Cサイズが主流です。
元々は90年代に35mmフィルムに代わってAPSカメラシステムというフォーマットとして発表され、
撮影日時やコメントなんかをフィルムの磁気面に記録できるという、
当時としては新しい規格のフィルムフォーマットがありました。
 
 
そして現代、各カメラメーカーがデジタルカメラのイメージセンサーを作るにあたり、
フルサイズのボケ感を持ちながら小型化や低価格化を目指して小さいセンサーを産みだした結果、
このAPSサイズに近くなって主流化という流れになったようです。
  
ムービーカメラはSuper35というセンサーサイズが主流です。
これはAPS-Cとほぼ同じサイズです。 
 

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そうこうしてAPSデジタル専用のレンズが開発されていくのですが、
APSでも各社サイズが微妙に異なる上にAPSセンサーサイズに対して
焦点距離◯◯mmのような表記だと、どれくらいの画角になるかが直感的にわかりにくいので、
馴染み深い35mm判フィルムをベースに考えましょうという潮流になったのでしょう。
 

下記の図のように、
35mm判とAPS-C判の対角線を比べるとその差が約1.5倍になります。
同じ焦点距離のレンズでも受け取る側(センサー)によって画角が変わることが分かります。
 
 
APS-Cセンサー搭載カメラに50mmのレンズを着けた際の画角が、
フルサイズに75mmのレンズを着けた時の画角に相当するということです。
 

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ということで、
標準レンズと言われる経緯が、人の見た目に近い範囲を切り取れる画角からということを考えると
画角が46°くらいになるのが「35mm判」で50mmのレンズだったわけで、
センサーサイズが変わると画角が変わるので50mmのレンズが標準ではなくなってしまう。
つまり焦点距離というより画角の問題なんですね。
 
 
このことから、APS-C≒Super 35mmのカメラでの場合は焦点距離50mmではなく、
35mmくらいだということなので、そろそろ標準レンズ=50mmということが
言えなくなって来ているのではないかと思います。
 
 
ちなみに、人間の目は非常に柔軟で、見るものや状況によって画角が変わるようです。
見えている範囲は170°もあり、普通の状態で45°くらい。注視する時は18°にもなるとか。
 
50mmレンズのような自然な遠近感がありながら
広角から望遠まで使える人間の目はとても優秀ですね。
 
 
塚本

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